こうべ食フレ!

第1回 学童・思春期の栄養 ~学童期・思春期に大切な栄養摂取と生活習慣について~

なぜ思春期の栄養が大切なの?

子どもの成長には、「一次成長期:乳幼児期~学童期」と「二次成長期:思春期」があります。思春期には脳下垂体から分泌される「成長ホルモン」に加えて、「性ホルモン(男性ホルモン・女性ホルモン)」の分泌が活発になることにより身体発育が急加速で起こる  「成長スパート」が見られます。個人差はありますが、女子では11歳、男子は13歳頃に身長が8~9cmも伸び、子どもから大人へと体が大きく成長します。この時期には骨や筋肉を作るために必要なエネルギー量や栄養をしっかり摂ることがとても大切です!さらに、脳下垂体からの「性腺刺激ホルモン」の分泌増加により性成熟も始まり、第二次性徴も見られます。思春期(12~17歳)は、心と身体のバランスを崩す時期でもあるので、適切な睡眠や生活習慣もとても大切です!

痩身志向に注意しよう

令和7年度、兵庫県の痩身傾向児の出現率は、男子は12歳の4.28%、女子は11歳の5.08%で最も高くなっています。男女合わせた全国の出現率と比較すると、5歳、6歳、8歳、13歳、16歳及び17歳以外の年齢では全国値を上回っていました。(図1・2)1)

思春期は特に、女子において痩身志向がみられます。女子は思春期になると自然な発育・発達による体の変化を受け入れられず、「私は太っている」と思い込み、「やせたい」というボディ・イメージを求めて極端なダイエットや、欠食をしてしまいます。最近はSNSの影響も大きいことが指摘されています。必要以上に食事の制限をすることによって、体重の減少だけでなく、必要な栄養素が不足し、貧血や体力低下、食欲不振、月経異常、神経性やせ症等を引き起こすこともあります。
日本肥満学会は2025年4月、18歳から閉経前の女性における低体重や低栄養の状態に対する新たな疾患概念として、「女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)」を提唱し、痩せ志向の健康リスクを体系化し警鐘を鳴らしています2)。また、国立成育医療研究センターは、2026年1月、日本人女性における妊娠前の低体重(やせ)が低出生体重児や早産など、周産期の母子の健康に与える影響について明らかにしています3)
間違ったダイエットや偏った食事の危険性を知り、からだの発達に見合ったバランスの良い食事を摂って、健康な心と身体を育てましょう!

朝食を毎日食べよう!

スポーツ庁が小学校5年生と中学校2年生を対象に実施した令和7年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」4)によると、朝食の摂食状況では、中学校女子に関しては、「食べない日もある」「食べない日が多い」「食べない」を合わせると25.4%となっており、昨年度より減少したものの、一定の割合を占めています。また、小学校男女と中学校男子の5⼈に1⼈、中学校女子の4⼈に1⼈が朝食を欠食する状況にあり、改善が望まれています。朝食を抜くと、エネルギーが不足し、成長スパートに必要な栄養素も摂れません。さらに朝食は、体内時計にスイッチを入れ、リズムを整える大切な役割があります。生活習慣の乱れも朝食に関係しており、スマートフォンなどのスクリーンタイムとの関連を見ると、朝食を「毎日食べる」児童生徒は、欠食する児童生徒と比較して顕著にスクリーンタイムが短く、調和のとれた生活ができていることが報告されています。また、朝食を「毎日食べる」グループほど、体力合計点が高い傾向にあることも報告されています。

まとめ

*「成長スパート」を支える食事(エネルギー摂取)を心がける!
* 痩身志向からの極端なダイエットに要注意!
* 朝食は毎日食べる!
* スクリーンタイムを短く、生活習慣を整えよう!

<参考>
1)令和7年度学校保健統計(学校保健統計調査報告書)発育と健康(令和8年2月兵庫県)
2)女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome)(FUS)ステートメント(2025年4月17日公開)肥満研究31巻2号(2025年8月25日発行)掲載
3)国立生育医療研究センター プレスリリース 2026年01月29日
4)令和7年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書(調査結果の総括)

【平野直美先生 プロフィール】
神戸女子短期大学食物栄養学科教授・医学博士(Ph.D.)。専門分野は「人体の構造と機能」、「健康科学」およびその関連分野。well-beingおよびサクセスフルエイジングを目指すための各ライフステージに必要な栄養、運動、生活習慣および適切な健康教育、食育をテーマに教育、研究に従事している。令和4年度・「兵庫県 健康づくり等にかかる知事表彰」、令和7年度・「厚生労働大臣表彰(栄養関係功労者)」を受賞。